院長ブログ

2025.06.16更新

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【 目 次 】

歯 折れた 応急処置

突然歯が折れてしまったとき、多くの人はパニックになってしまいます。

歯が折れた状況は誰にでも起こり得る緊急事態であり、適切な応急処置を行うことで、その後の治療の成功率を大幅に向上させることができます。

スポーツ中の事故、転倒、硬い食べ物を噛んだ時など、様々な場面で歯が折れる可能性があります。

歯が折れた際には、まず冷静になって適切な応急処置を行い、できるだけ早く歯科医院での治療を受けることが必要です。

折れた歯の部分を適切に保管し、正しい応急処置を施すことで、歯の修復や治療の選択肢が広がります。

この記事では、歯が折れた時の応急処置から、歯科医院での本格的な治療まで、包括的な情報をお届けします。

 

歯が折れる主な原因と折れ方の種類

歯 折れた 応急処置

歯が折れる原因は多岐にわたり、それぞれ異なる対応が必要です。

まず、歯が折れる主な原因について理解することで、適切な応急処置と治療方針を立てることができます。

 

外傷による歯の破折

最も一般的な歯が折れる原因は外傷です。

スポーツ中の衝突、転倒、交通事故などにより、歯に強い力が加わることで折れてしまいます。

特に前歯は外傷を受けやすく、完全に折れてしまう可能性も高くなります。

外傷による歯の破折では、折れた部分の大きさや位置によって治療法が大きく異なります。

外傷で歯が折れた場合、根の部分まで損傷している可能性もあるため、歯科医院での詳しい検査が必要です。

レントゲン撮影により、見た目では分からない根の部分の状態を確認し、最適な治療方針を決定します。

 

虫歯による歯の破折

虫歯が進行すると、歯の構造が弱くなり、咀嚼時の力に耐えられずに折れてしまうことがあります。

虫歯による歯の破折は、健康な歯の部分と虫歯になっている部分の境界で起こることが多く、治療には虫歯の除去と歯の修復が必要になります。

虫歯が原因で歯が折れた場合、感染のリスクも高くなるため、速やかな歯科治療が必要です。

放置すると細菌感染が広がり、より複雑な治療が必要になる可能性があります。

 

歯ぎしりや食いしばりによる破折

慢性的な歯ぎしりや食いしばりにより、歯に継続的な負荷がかかることで、疲労破折を起こすことがあります。

この場合、歯が徐々に弱くなり、ある時点で突然折れてしまいます。

歯ぎしりによる破折は、奥歯に多く見られ、治療後も再発の可能性があるため、根本的な原因への対処も必要です。

 

歯の折れ方による分類

歯の折れ方は大きく分けて以下のような種類があります:

歯冠破折

歯の見える部分(歯冠)が折れた状態で、最も一般的な破折です。折れた部分の大きさにより、治療法が異なります。小さな欠けから大きな破折まで様々なレベルがあります。

歯根破折

歯の根の部分が折れた状態で、外見からは分からないことが多く、レントゲン検査で発見されます。歯根破折は治療が困難で、抜歯が必要になる可能性もあります。

歯冠歯根破折

歯冠から歯根にかけて縦に折れた状態で、最も複雑な破折です。この場合、歯の保存が困難で、抜歯後のインプラントやブリッジなどの治療が必要になることがあります。

 

歯が折れた時の緊急応急処置

歯 折れた 応急処置

歯が折れた時の応急処置は、その後の治療成功率を大きく左右する重要な要素です。

適切な応急処置を行うことで、歯の保存や修復の可能性を高めることができます。

 

折れた歯の部分の取り扱い

歯が折れた際に最も重要な応急処置は、折れた歯の部分を適切に保管することです。

折れた歯の部分を見つけたら、以下の手順で保管してください:

まず、折れた歯の部分を水道水で軽く洗い流しますが、こすったり石鹸を使ったりしてはいけません。

歯の表面には歯根膜という重要な組織が付着しており、これを傷つけると治療の成功率が下がります。

洗浄後は、生理食塩水、牛乳、または口の中(頬と歯茎の間)に保管します。

これらの環境は歯の組織を生きた状態で保つのに適しています。

水道水での長時間の保管は避けてください

折れた歯の部分は乾燥を避け、できるだけ早く歯科医院に持参することが必要です。

保管時間が長くなるほど、修復治療の成功率は低下します。

 

出血の止血処置

歯が折れた際には、歯茎や口の中の軟組織からの出血を伴うことがあります。

適切な応急処置により出血を止めることが必要です:

清潔なガーゼやティッシュを折れた歯の部分に軽く当て、圧迫止血を行います。

強く押し付けすぎると、かえって組織を傷つける可能性があるため、適度な圧力で止血します。

出血が止まらない場合は、冷たいタオルを外側から当てることで血管を収縮させ、出血を抑えることができます。

 

痛みへの対処

歯が折れた時の痛みは、神経が露出することで起こります。

応急処置として以下の方法が有効です:

市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェン)を服用することで、痛みを和らげることができます。

ただし、アスピリンは出血を促進する可能性があるため避けてください

冷却による応急処置も効果的です。

氷を布で包み、頬の外側から当てることで、痛みと腫れを軽減できます。

直接氷を当てると凍傷の危険があるため、必ず布で包んでください。

神経が露出している場合は、冷たい飲み物や熱い食べ物は避け、刺激を最小限に抑えることが重要です。

 

感染予防の応急処置

歯が折れると、細菌感染のリスクが高まります。

感染予防のための応急処置も重要です:

口の中を清潔に保つため、ぬるま湯で優しくうがいをします。

強くうがいをすると、血餅が取れて出血が再開する可能性があるため注意が必要です。

折れた歯の部分に食べ物が挟まらないよう注意し、歯科医院での治療を受けるまでは、その部分での咀嚼を避けてください。

 

歯科医院での専門的治療法

歯 折れた 応急処置

歯が折れた場合の本格的な治療は、歯科医院での専門的な処置が必要です。

折れ方や損傷の程度により、様々な治療選択肢があります。

 

小さな欠けの治療

歯の小さな部分が欠けた場合、比較的簡単な治療で修復することができます:

コンポジットレジン修復

歯科用プラスチック材料を使用した治療で、欠けた部分を直接修復します。治療時間が短く、一回の治療で完了することが多い方法です。色調も天然歯に近く調整できるため、前歯の治療にも適しています。

研磨による修復

非常に小さな欠けの場合、研磨により表面を滑らかにするだけで治療が完了することもあります。

この治療法は最も侵襲が少なく、時間もかかりません。

 

 

中程度の破折の治療

歯の中程度の部分が折れた場合、より複雑な治療が必要になります:

インレー・アンレー治療

折れた部分が大きい場合、型取りをして作製したセラミックや金属の修復物で治療します。

この治療は2回の通院が必要で、一回目に型取り、二回目に装着を行います。

クラウン(被せ物)治療

歯冠の大部分が失われた場合、歯全体を覆うクラウンによる治療が必要です。

この治療では、残っている歯を削って形を整え、その上にクラウンを装着します。

材料には金属、セラミック、ジルコニアなどがあり、部位や患者の希望により選択します。

 

神経に達する破折の治療

折れた部分が神経に達している場合、根管治療が必要になります:

根管治療

感染した神経を除去し、根管内を清掃・消毒した後、密封する治療です。

この治療には複数回の通院が必要で、治療期間も長くなります。

根管治療後は、歯が脆くなるため、クラウンによる保護が必要です。

直接覆髄

神経が露出しているが、まだ感染していない場合に行う治療です。

特殊な薬剤で神経を保護し、神経の自然治癒を促します。

成功すれば神経を保存でき、歯の寿命を延ばすことができます。

 

歯根破折の治療

歯根が折れている場合の治療は最も困難です:

歯根分割抜去術

多根歯(根が複数ある歯)の場合、折れた根だけを除去し、残りの根を保存する治療です。

この治療により、歯の一部を保存できる可能性があります。

接着による修復

比較的新しい治療法で、特殊な接着剤により歯根の破折部を接着する方法です。

成功率は限られていますが、歯を保存できる可能性があります。

抜歯後の治療

保存が困難な場合は抜歯が必要です。

抜歯後は、インプラント、ブリッジ、部分入れ歯などの治療により、失った歯の機能を回復します。

 

折れた歯の治療後のケアと予防

歯 折れた 応急処置

治療が完了した後も、適切なケアと予防措置が必要です。

治療した歯を長期間保つために、以下の点に注意してください。

 

治療後の口腔ケア

治療後の口腔ケアは、治療の成功を左右する重要な要素です:

適切な歯磨き

治療した部分も含めて、丁寧な歯磨きを行うことが必要です。

特に修復物の境界部分は、細菌が蓄積しやすいため、念入りに清掃してください。

フロスや歯間ブラシの使用

修復物周辺の歯間部分の清掃も重要です。

適切な口腔清掃用具を使用し、細菌の蓄積を防ぎましょう。

定期的な歯科検診

治療後は定期的に歯科医院でチェックを受けることが必要です。

修復物の状態や周辺組織の健康状態を確認し、問題があれば早期に対処します。

 

生活習慣の改善

治療後の生活習慣の改善も重要です:

硬い食べ物の避用

治療した歯に過度な負担をかけないよう、硬い食べ物は避けるか、注意深く摂取してください。

氷や硬いキャンディ、ナッツなどは特に注意が必要です。

歯ぎしり・食いしばりの対策

歯ぎしりや食いしばりがある場合は、ナイトガードの使用を検討してください。

これにより、治療した歯への負担を軽減できます。

スポーツ時の保護

スポーツを行う際は、マウスガードの使用を検討してください。

特にコンタクトスポーツでは、歯の外傷を防ぐために必要です。

 

長期的なメンテナンス

治療した歯の長期的な維持には、継続的なメンテナンスが必要です:

修復物の交換

修復物には寿命があります。

定期的なチェックにより、修復物の状態を確認し、必要に応じて交換を行います。

周辺歯の健康管理

治療した歯だけでなく、周辺の歯の健康も重要です。

全体的な口腔健康を維持することで、治療した歯の負担を軽減できます。

 

歯が折れた時の治療費と保険適用

歯 折れた 応急処置

歯が折れた時の治療費について理解しておくことも重要です。

治療法により費用は大きく異なり、保険適用の有無も治療選択に影響します。

 

保険適用治療の費用

基本的な修復治療の多くは保険適用となります:

コンポジットレジン修復

小さな欠けの修復は保険適用で、患者負担は数百円から数千円程度です。

治療時間も短く、経済的負担も軽い治療法です。

金属修復(インレー)

保険適用の金属修復は、比較的安価で行えます。

ただし、見た目が気になる場合は、自費治療の選択肢も検討する必要があります。

根管治療

神経の治療も保険適用で、複数回の治療が必要ですが、総額でも数千円程度の負担です。

 

自費治療の費用

見た目や機能性を重視する場合は、自費治療も選択肢になります:

セラミック修復

自然な見た目を重視する場合、セラミック修復が適しています。

費用は数万円から十数万円程度ですが、審美性に優れています。

ジルコニアクラウン

強度と審美性を兼ね備えた材料で、特に奥歯の治療に適しています。

費用は10万円程度が一般的です。

インプラント治療

抜歯が必要な場合の選択肢として、インプラント治療があります。

費用は30万円程度と高額ですが、天然歯に近い機能を回復できます。

 

 

緊急時の費用対策

歯が折れた時の緊急治療に備えて、以下の点を考慮してください:

歯科医療保険:民間の歯科医療保険に加入することで、高額な治療費に備えることができます。

医療費控除:年間の医療費が一定額を超えた場合、医療費控除を受けることができます。治療費の領収書は必ず保管しておきましょう。

分割払い:多くの歯科医院では、高額な治療費の分割払いに対応しています。治療前に支払い方法について相談してください。

歯が折れた時の応急処置から治療、そして治療後のケアまで、適切な対応を行うことで、歯の機能と見た目を回復することができます。

最も重要なのは、折れた直後の適切な応急処置と、できるだけ早い歯科医院での治療です。

日頃から歯科医院との関係を築いておき、緊急時にも迅速に対応できるよう準備しておくことをお勧めします。

また、治療後は定期的なメンテナンスと予防措置により、再発を防ぐことができます。

歯が折れるという緊急事態に適切に対応し、長期的な歯の健康を維持していきましょう。

投稿者: ブルーリーフ歯科

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