歯医者で治療を受ける際、多くの患者さんが気になるのが「麻酔にかかる時間」や「効果がどれくらい続くのか」という点です。
また、麻酔を使う治療では費用や保険適用の有無、痛みへの不安など、さまざまな疑問が生まれます。
この記事では、歯科治療における麻酔の時間について、現場目線で詳しく解説していきます。
歯医者の麻酔にかかる時間の基本

歯科治療で使用される麻酔には、施術にかかる時間と効果が持続する時間の両方を理解しておく必要があります。
患者さんの不安を軽減するためにも、麻酔のプロセスや時間について正確な知識を持つことが大切です。
ここでは、麻酔注射そのものにかかる時間と、効果が現れるまでの待ち時間について説明します。
麻酔注射自体にかかる時間
一般的な歯科の局所麻酔注射は、実際の注射時間としては1〜3分程度で完了します。
ただし、この時間は患者さんの痛みへの感受性や、治療する部位によって若干変動します。
歯医者では、患者さんができるだけ痛みを感じないよう、ゆっくりと丁寧に麻酔薬を注入するため、急いで注射するよりも時間をかけることがあります。
麻酔注射の前には、表面麻酔と呼ばれるゲル状やスプレー状の麻酔薬を歯茎に塗布することも多く、この表面麻酔の効果が出るまでに1〜2分待つ必要があります。
そのため、表面麻酔と注射を合わせると、麻酔処置全体では5分前後の時間を要すると考えておくとよいでしょう。
麻酔が効くまでの待ち時間
麻酔注射が終わった後、実際に麻酔の効果が十分に現れるまでには、通常5〜10分程度の時間が必要です。
この待ち時間は、麻酔薬が神経に作用して痛みの感覚を遮断するために必要不可欠な時間です。
歯科医師は、患者さんに「唇や舌がしびれてきましたか?」と確認しながら、麻酔の効き具合をチェックします。
麻酔の効果が不十分な状態で治療を始めると、痛みを感じる可能性があるため、診療の安全性を確保するためにも、この待ち時間は省略できません。
患者さんの体質や治療部位、炎症の程度によっては、麻酔が効くまでの時間がやや長くなることもあります。
特に下顎の奥歯の治療では、骨が厚いため麻酔が効きにくく、15分程度待つケースもあります。
麻酔の効果が持続する時間
歯科で使用される局所麻酔の効果持続時間は、一般的に1〜3時間程度です。
使用する麻酔薬の種類や濃度、血管収縮薬の有無によって、効果が続く時間は変わります。
通常の虫歯治療や抜歯では、治療時間が30分〜1時間程度であることが多いため、1回の麻酔で十分に対応できます。
ただし、長時間の治療が必要な場合や、患者さんの代謝が早い場合には、治療途中で追加の麻酔が必要になることもあります。
麻酔の効果が切れ始めると、徐々に感覚が戻ってきますが、完全に元の状態に戻るまでには、治療終了後さらに1〜2時間かかることもあります。
麻酔が効いている間は、誤って唇や舌を噛んでしまうリスクがあるため、食事は麻酔が完全に切れてから摂るよう注意が必要です。
歯科麻酔の種類と時間の違い

歯医者で使われる麻酔には、いくつかの種類があり、それぞれ施術時間や効果の持続時間が異なります。
治療内容や患者さんの状態に応じて、最適な麻酔方法が選択されます。
ここでは、主な麻酔の種類とそれぞれの特徴について解説します。
表面麻酔の時間と効果
表面麻酔は、注射の痛みを軽減するために歯茎の表面に塗布する麻酔です。
ゲル状やスプレー状の麻酔薬を使用し、塗布後1〜2分で効果が現れます。
表面麻酔の効果は浅い部分にのみ作用するため、深い組織の痛みには対応できませんが、注射針を刺す際の痛みを和らげることができます。
効果の持続時間は10〜15分程度と短いため、表面麻酔の後はすぐに浸潤麻酔や伝達麻酔といった本格的な麻酔注射を行います。
患者さんの中には、この表面麻酔だけで安心感が得られ、その後の注射への恐怖心が軽減される方も多くいらっしゃいます。
浸潤麻酔(局所麻酔)の時間
浸潤麻酔は、歯科治療で最も一般的に使用される麻酔方法です。
治療する歯の周辺の歯茎に直接麻酔薬を注射し、その部位の神経を麻痺させます。
注射自体は1〜3分程度で完了し、効果が現れるまでには5〜10分の待ち時間が必要です。
浸潤麻酔の効果は、通常1〜2時間持続するため、虫歯治療や歯周病の処置、軽度の抜歯などに適しています。
この麻酔方法は、ピンポイントで効かせることができるため、治療後の日常生活への影響も最小限に抑えられます。
ただし、炎症が強い部位では麻酔が効きにくいことがあり、その場合は複数回に分けて麻酔を追加することもあります。
伝達麻酔の時間と特徴
伝達麻酔は、神経の根元に近い部分に麻酔薬を注射することで、広範囲の麻酔効果を得る方法です。
主に下顎の奥歯の治療や、親知らずの抜歯など、広い範囲の麻酔が必要な場合に使用されます。
注射時間は浸潤麻酔と同様に2〜3分程度ですが、効果が現れるまでには10〜15分程度かかることがあります。
伝達麻酔の効果は2〜4時間と長く持続するため、長時間の治療や複数の歯を同時に治療する際に有効です。
ただし、広範囲に麻酔がかかるため、治療後は舌や頬の感覚も麻痺し、食事や会話に注意が必要な時間が長くなります。
伝達麻酔は高度な技術を要するため、経験豊富な歯科医師による施術が重要です。
静脈内鎮静法の時間
静脈内鎮静法は、点滴で鎮静薬を投与し、患者さんをリラックスした状態にする方法です。
完全に意識を失う全身麻酔とは異なり、意識は保たれながらも、不安や恐怖心が軽減されます。
この方法は、歯科治療への恐怖心が強い患者さんや、長時間の治療が必要な場合、インプラント手術などで選択されることがあります。
静脈内鎮静法の準備には10〜15分程度かかり、薬剤の効果が現れるまでに数分を要します。
治療中は麻酔科医や歯科医師が常に患者さんの状態をモニタリングし、安全を確保します。
治療後は、鎮静効果が完全に切れるまで30分〜1時間程度の回復時間が必要で、当日の車の運転は禁止されます。
静脈内鎮静法を使用する場合、診療時間は通常の治療よりも長くなり、全体で2〜3時間程度を見込む必要があります。
麻酔を使う歯科治療の流れと所要時間

実際の歯科治療では、麻酔の時間だけでなく、診察や検査、治療本体の時間も含めて考える必要があります。
患者さんが歯医者での診療時間を予測しやすいよう、一般的な治療の流れを詳しく説明します。
ここでは、初診から治療完了までの各ステップと、それぞれにかかる時間の目安を解説します。
初診時の検査と診断の時間
初めて歯医者を受診する場合、まず問診票の記入や口腔内の検査が行われます。
問診票では、現在の症状や既往歴、アレルギーの有無、服用中の薬などを確認します。
この問診情報は、麻酔の使用可否や治療計画を立てる上で非常に重要です。
口腔内の検査では、視診や触診、レントゲン撮影などが行われ、これらの検査には15〜30分程度の時間がかかります。
レントゲン撮影は、歯の根の状態や骨の状態を確認するために必要で、パノラマレントゲンであれば数分、必要に応じてCT撮影を行う場合は10分程度追加されます。
検査結果をもとに、歯科医師が診断を行い、治療方針を患者さんに説明します。
この説明と相談の時間も含めると、初診全体では30〜60分程度を見込んでおくとよいでしょう。
麻酔を含む虫歯治療の所要時間
一般的な虫歯治療で麻酔を使用する場合、治療全体にかかる時間は30〜60分程度です。
まず表面麻酔を塗布して1〜2分待ち、その後浸潤麻酔の注射を1〜3分かけて行います。
麻酔が効くまで5〜10分待った後、実際の虫歯の除去と詰め物の処置を開始します。
虫歯の大きさや深さによって治療時間は変わりますが、小さな虫歯であれば15〜20分、中程度の虫歯では30〜40分程度の治療時間が必要です。
治療後は、噛み合わせの調整や最終確認を行い、麻酔が効いている間の注意事項を説明します。
複数の歯を治療する場合や、虫歯が神経に達している場合は、さらに時間がかかり、複数回の通院が必要になることもあります。
抜歯治療にかかる時間
抜歯治療では、歯の状態や位置によって所要時間が大きく異なります。
単純な抜歯の場合、麻酔の準備から抜歯完了までは20〜40分程度で終わることが多いです。
親知らずの抜歯や、骨に埋まっている歯の抜歯など、難しいケースでは1〜2時間程度かかることもあります。
麻酔には浸潤麻酔または伝達麻酔が使用され、効果が現れるまで10〜15分待つ時間も含まれます。
抜歯後は、止血の確認やガーゼの交換、術後の注意事項の説明などに10〜15分程度の時間が必要です。
特に下顎の親知らずの抜歯では、歯茎を切開したり骨を削ったりする処置が必要になることもあり、その場合は診療時間が長くなります。
抜歯後の痛みや腫れに備えて、痛み止めや抗生物質が処方されることも一般的です。
歯周病治療での麻酔使用時間
歯周病の治療で麻酔を使用するのは、主に歯石除去や歯周外科手術の際です。
軽度の歯石除去では麻酔が不要な場合もありますが、歯茎の下の深い部分の歯石を取る場合は、麻酔が必要になります。
歯周病が進行している患者さんの場合、炎症が強いため麻酔が効きにくく、複数回の麻酔注射や追加の麻酔が必要になることがあります。
1回の歯周病治療にかかる時間は、麻酔を含めて30〜90分程度で、治療範囲によって変動します。
歯周外科手術では、歯茎を切開して歯根の表面をきれいにする処置が行われ、治療時間は1〜2時間程度になることもあります。
歯周病治療は通常、複数回の通院が必要で、定期的なメンテナンスも重要です。
歯科麻酔の費用と保険適用について

歯医者での麻酔費用は、多くの患者さんが気になるポイントです。
保険適用の有無や治療内容によって、実際の負担額は大きく変わります。
ここでは、麻酔にかかる費用の相場と、保険診療と自費診療の違いについて詳しく説明します。
保険適用の麻酔費用
一般的な歯科治療で使用される局所麻酔(浸潤麻酔や伝達麻酔)は、保険診療の範囲内で行われます。
保険適用の麻酔費用は、3割負担の場合で1回あたり100〜300円程度です。
この費用には、麻酔薬の代金と注射の技術料が含まれており、虫歯治療や抜歯などの必要な治療に伴う麻酔であれば、ほとんどが保険適用となります。
表面麻酔も保険適用内で行われることが多く、追加の費用負担はほとんどありません。
ただし、再診料や処置料、レントゲン撮影費用などは別途かかるため、診療全体の費用は治療内容によって異なります。
保険診療では、治療1回あたりの総費用は2,000〜5,000円程度が一般的な相場です。
自費診療での麻酔費用
審美歯科やインプラント治療など、自費診療で麻酔を使用する場合、費用は歯医者によって異なります。
静脈内鎮静法を使用する場合は、自費診療となることが多く、費用は3万〜8万円程度が相場です。
この費用には、麻酔科医の技術料、使用する薬剤費、モニタリング機器の使用料などが含まれます。
笑気麻酔を使用する場合は、1回あたり3,000〜1万円程度の追加費用がかかることがあります。
自費診療では、歯医者ごとに料金設定が異なるため、事前に見積もりを確認することが重要です。
また、医療費控除の対象となる治療もあるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
麻酔費用に影響する要因
麻酔費用は、使用する麻酔の種類、治療時間、治療の難易度などによって変わります。
複雑な抜歯や長時間の治療では、追加の麻酔が必要になり、その分費用が増えることもあります。
患者さんの体質や既往歴によって、特殊な麻酔薬を使用する必要がある場合は、通常よりも費用が高くなることがあります。
初診時には、初診料や検査費用も別途かかるため、総費用は再診時よりも高くなります。
通院回数が多くなると、その分再診料や処置料が積み重なるため、治療計画を事前に確認し、通院回数を把握しておくことが大切です。
歯医者によっては、治療費の分割払いやクレジットカード払いに対応しているところもあります。
麻酔の効果を最大限にするために患者さんができること

麻酔の効果は、患者さんの体調や行動によっても影響を受けます。
治療をスムーズに進め、痛みを最小限に抑えるために、患者さん自身ができる準備や注意点があります。
ここでは、麻酔の効果を高め、安全な治療を受けるためのポイントを解説します。
治療前の体調管理
麻酔の効果を十分に得るためには、治療当日の体調管理が重要です。
睡眠不足や疲労が溜まっている状態では、麻酔が効きにくくなることがあります。
治療前日はしっかりと睡眠を取り、体調を整えておくことが推奨されます。
また、空腹状態や過度の満腹状態も避けた方がよく、治療の1〜2時間前に軽い食事を済ませておくのが理想的です。
風邪や発熱がある場合は、麻酔のリスクが高まるため、治療を延期することも検討すべきです。
歯医者に行く前に、体調に不安がある場合は、電話で相談してから来院するとよいでしょう。
服用中の薬やアレルギーの申告
麻酔を安全に使用するためには、患者さんが服用している薬や、アレルギーの有無を正確に申告することが必要です。
特に血液をサラサラにする薬や、心臓病の薬、糖尿病の薬などを服用している場合は、麻酔や治療に影響することがあるため、必ず歯医者に伝えましょう。
過去に麻酔でアレルギー反応が出たことがある方や、局所麻酔薬に対する過敏症の既往がある場合も、事前の申告が不可欠です。
市販薬やサプリメントも、治療に影響する可能性があるため、服用しているものはすべて伝えることが大切です。
歯医者は、これらの情報をもとに、最も安全で効果的な麻酔方法を選択します。
治療中のリラックス方法
麻酔の効果は、患者さんの精神状態にも影響されます。
緊張や不安が強いと、血管が収縮して麻酔が効きにくくなることがあります。
治療中は、深呼吸をしてリラックスすることを心がけ、肩や首の力を抜くように意識しましょう。
音楽を聴いたり、目を閉じて別のことを考えたりすることも、緊張を和らげる効果があります。
痛みを感じたり、不快感がある場合は、遠慮せずに手を挙げて歯医者に伝えることが重要です。
歯医者は患者さんの状態を確認しながら治療を進めるため、コミュニケーションを取ることが安全な治療につながります。
治療後の注意事項
麻酔が効いている間は、食事や飲み物の摂取に注意が必要です。
感覚が麻痺している状態で食事をすると、誤って唇や舌、頬の内側を噛んでしまうことがあり、ケガの原因となります。
麻酔が完全に切れるまでは、熱い飲み物や硬い食べ物も避けた方が安全です。
治療後は、麻酔による一時的なしびれや違和感があっても、数時間で自然に消失するため、過度に心配する必要はありません。
ただし、麻酔が切れた後に強い痛みや腫れが続く場合は、歯医者に連絡して指示を仰ぐことが大切です。
処方された薬は、用法用量を守って正しく服用しましょう。
よくある質問(FAQ)

Q1. 麻酔が効きにくい体質はありますか?
はい、個人差により麻酔が効きにくい方もいらっしゃいます。
特に炎症が強い部位や、不安や緊張が強い状態では、麻酔の効果が十分に得られないことがあります。
また、代謝が早い方や、日常的にアルコールを多く摂取される方は、麻酔が効きにくい傾向があります。
このような場合、歯医者は麻酔の量を調整したり、伝達麻酔など別の方法を選択したりして対応します。
麻酔が効きにくいと感じたら、遠慮せず歯科医師に相談しましょう。
Q2. 麻酔後、どのくらいで車の運転ができますか?
通常の局所麻酔であれば、治療後すぐに車の運転は可能です。
ただし、静脈内鎮静法や笑気麻酔を使用した場合は、意識や判断力に影響があるため、当日の運転は禁止されます。
鎮静法を使用した治療の場合は、必ず付き添いの方に送迎をお願いするか、公共交通機関を利用してください。
歯医者からも、治療前に運転の可否について説明がありますので、事前に確認しておくことが大切です。
Q3. 麻酔の注射は本当に痛くないのですか?
現代の歯科では、麻酔の痛みを最小限にするための工夫がたくさんあります。
表面麻酔を使用することで、注射針を刺す際の痛みはかなり軽減されます。
また、細い針を使用したり、麻酔液を温めたり、ゆっくりと注入したりすることで、痛みを感じにくくしています。
それでも完全に無痛というわけではなく、チクッとした軽い痛みを感じることはあります。
痛みに対する不安が強い場合は、事前に歯医者に相談すれば、より痛みの少ない方法を提案してもらえます。
Q4. 麻酔が切れた後、痛みが出るのは普通ですか?
治療内容によっては、麻酔が切れた後に痛みが出ることがあります。
特に抜歯や歯周外科手術など、組織に大きな侵襲がある治療では、術後の痛みは避けられません。
歯医者は、術後の痛みを予測して、適切な痛み止めを処方しますので、指示通りに服用すれば痛みはコントロールできます。
通常、2〜3日で痛みは徐々に軽減していきます。
もし痛みが日に日に強くなったり、高熱が出たりした場合は、感染などの可能性があるため、すぐに歯医者に連絡してください。
Q5. 麻酔の副作用はありますか?
歯科で使用される局所麻酔は、一般的に安全性が高く、重篤な副作用が起こることはまれです。
ただし、麻酔薬に含まれる血管収縮薬の影響で、一時的に動悸や頭痛、めまいを感じることがあります。
また、注射部位に内出血や腫れが生じることもありますが、数日で自然に治まります。
アレルギー体質の方や、特定の薬に過敏症がある方は、事前に歯医者に申告することで、適切な対応が可能です。
麻酔後に異常を感じた場合は、速やかに歯科医師に相談しましょう。
この記事では、歯医者での麻酔にかかる時間や費用、治療の流れについて詳しく解説しました。
麻酔は、患者さんの痛みを軽減し、安全で快適な歯科治療を実現するために必要不可欠なものです。
治療内容や患者さんの状態によって、麻酔の種類や時間は変わりますが、歯医者は常に最適な方法を選択し、患者さんの不安に寄り添いながら診療を行っています。
麻酔に関する疑問や不安がある場合は、遠慮せず歯科医師に相談し、納得した上で治療を受けることが大切です。
定期的な検診と早期治療により、麻酔を必要とする大きな治療を避けることもできるため、日頃から歯の健康管理を心がけましょう。
















