歯医者での治療を受ける際、多くの方が気になるのが「型取り」と「料金」の問題です。
特に虫歯の治療やブリッジの作成などで型取りが必要になった場合、一体どのくらいの費用がかかるのか不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、歯医者での型取りにかかる料金について、保険適用の場合と自費診療の場合に分けて詳しく解説していきます。
治療を受ける前に知っておくべき料金の仕組みや、負担額を抑えるためのポイントもご紹介します。
型取りの種類や治療内容によって料金がどのように変わるのか、具体的な金額も含めて分かりやすく説明していきます。
1. 歯医者の型取りとは?基本的な知識を理解しよう
型取りが必要になる治療とは
歯医者での型取りは、正式には「印象採得」と呼ばれる診療行為です。
型取りは、患者さんの歯の形を正確に記録するために行われる重要な治療プロセスの一つです。
虫歯の治療で詰め物や被せ物を作る際、ブリッジを作成する際、入れ歯を製作する際など、様々な場面で型取りが必要となります。
治療の精度を高めるために、型取りは欠かせない工程なのです。
保険診療でも自費診療でも、型取りは治療の成功を左右する重要なステップとなります。
型取りでは、専用の印象材を使用して歯の形状を採取します。
この印象材には様々な種類があり、治療内容や保険適用の有無によって使用される材料が異なります。
保険診療で使用される印象材と、自費診療で使用される高精度な印象材では、料金にも大きな差が生まれます。
治療の質を左右する重要な工程だからこそ、型取りにかかる料金についても事前に理解しておくことが大切です。
診療を受ける前に、保険適用の範囲や料金の目安を確認しておくことをおすすめします。
型取りの種類と方法
歯医者での型取りには、大きく分けて従来型の印象材を使った方法と、デジタル技術を活用した口腔内スキャナーによる方法があります。
従来型の型取りでは、アルジネートやシリコン系の印象材をトレーに盛って、患者さんの口の中に数分間入れて固めます。
この方法は保険診療で広く採用されており、料金面での負担が比較的少ないのが特徴です。
一方、口腔内スキャナーを使用したデジタル型取りは、自費診療で提供されることが多く、料金は高くなる傾向があります。
治療の目的や患者さんの希望に応じて、適切な方法が選択されます。
前歯の治療では、審美性が重要になるため、より精密な型取りが求められます。
前歯の被せ物やブリッジの型取りでは、特に精度が重要となり、使用する印象材の種類によって治療費も変わってきます。
保険適用の治療では、一定の品質基準を満たした材料と方法で型取りが行われますが、より高度な審美性や精度を求める場合は自費診療を選択することになります。
前歯は笑顔の印象を大きく左右するため、型取りの精度にこだわる患者さんも少なくありません。
診療時に歯科医師と相談しながら、保険診療か自費診療かを選ぶことができます。
2. 保険適用の型取り料金について詳しく解説
保険診療での型取りの基本料金
保険診療で型取りを行う場合、患者さんの負担額は保険点数に基づいて計算されます。
一般的な印象採得の保険点数は、治療内容や印象材の種類によって異なりますが、基本的な型取りで約200点から500点程度です。
3割負担の方であれば、600円から1,500円程度の料金が型取りだけでかかることになります。
ただし、これは型取りのみの料金であり、実際の診療では検査費用や治療費などが加算されます。
保険適用の場合、全国どこの歯医者でも同じ料金体系が適用されるため、料金の透明性が高いという利点があります。
虫歯の治療で詰め物を作る際の型取りでは、比較的シンプルな印象採得となるため、料金負担は少なめです。
単純な虫歯治療の型取りなら、保険適用で600円から1,000円程度の負担で済むケースが多いでしょう。
一方、ブリッジや複数の歯にまたがる治療の型取りでは、より複雑な作業が必要となるため、料金も高くなります。
診療内容が複雑になるほど、型取りにかかる保険点数も上がり、患者さんの負担額も増加する仕組みです。
治療前に料金の見積もりを出してもらうことで、負担額を事前に把握することができます。
被せ物の種類による料金の違い
保険適用で作れる被せ物には、主に金属の冠とレジン前装冠があります。
金属の冠は、いわゆる銀歯と呼ばれるもので、奥歯の治療に使用されることが多く、型取りの料金も含めた全体の治療費負担は比較的抑えられます。
金属冠の型取りは標準的な方法で行われ、料金は保険点数に基づいて算出されます。
3割負担の方で、型取りから装着まで含めて5,000円から8,000円程度の負担となるケースが一般的です。
保険診療では、金属材料を使用した治療が中心となるため、料金を抑えながら機能的な治療を受けることができます。
前歯の治療では、見た目を考慮してレジン前装冠という白い被せ物を保険で作ることができます。
前歯のレジン前装冠は保険適用ですが、金属の裏打ちがあるため金属冠と同様の扱いとなります。
型取りの料金は金属冠とほぼ同じですが、製作過程が複雑なため、全体の治療費はやや高くなる傾向があります。
前歯6本までは保険適用でレジン前装冠が作れますが、それ以外の歯では原則として金属冠となります。
診療時に歯科医師から、保険適用の範囲と料金について詳しい説明を受けることができます。
ブリッジの型取り料金
ブリッジの治療では、失った歯の両隣の歯を削って土台とし、連結した被せ物を装着します。
ブリッジの型取りは、複数の歯を同時に印象採得する必要があるため、単独の歯の型取りよりも料金が高くなります。
保険適用のブリッジ型取りでは、3割負担で2,000円から3,000円程度の料金がかかることが一般的です。
ブリッジは失った歯の本数や位置によって設計が異なるため、治療費全体の負担額も症例によって変わります。
診療前にしっかりと料金の説明を受け、治療計画を理解した上で進めることが重要です。
前歯のブリッジでは、保険適用でもレジン前装のものを作ることができます。
前歯部分は審美性が求められるため、金属だけのブリッジではなく、表面が白いレジン前装ブリッジが選択されることが多いです。
保険診療でのブリッジ治療は、型取りの料金に加えて、土台の形成料金や装着料金なども含めた総額で考える必要があります。
3本のブリッジ(歯2本+欠損1本)の場合、型取りから完成まで含めた保険での負担額は2万円から3万円程度が目安となります。
治療期間は通常2週間から4週間程度かかり、その間に複数回の診療が必要です。
3. 自費診療の型取り料金と保険との違い
自費診療で選べる高精度な型取り
自費診療では、保険診療では使用できない高精度な印象材や、最新のデジタル技術を使った型取りが可能です。
シリコン系の精密印象材を使用した型取りでは、歯の細部まで正確に記録でき、より適合性の高い被せ物を作ることができます。
自費診療の型取り料金は、使用する材料や技術によって3,000円から10,000円程度と幅があります。
デジタル口腔内スキャナーを使った型取りは、従来の印象材を使う方法に比べて快適で、印象材が固まるまで待つ必要もありません。
治療の精度を高めたい方や、型取りの不快感を軽減したい方に適した選択肢です。
自費診療では、セラミックやジルコニアといった審美性と耐久性に優れた材料を使用できます。
これらの材料で被せ物を作る場合、型取りも非常に精密に行う必要があるため、料金も高くなります。
前歯の治療で自費のセラミック冠を選択する場合、型取りだけで5,000円から8,000円程度の料金がかかることもあります。
ただし、自費診療の料金は歯科医院によって異なるため、治療を受ける前に必ず料金の確認をすることが大切です。
診療内容と料金について納得した上で治療を開始することをおすすめします。
セラミックやジルコニアの型取り料金
セラミックやジルコニアを使った被せ物の治療では、型取りの精度が最終的な仕上がりを大きく左右します。
自費診療でのセラミック治療の場合、型取りから完成までの治療費は1本あたり8万円から15万円程度が相場です。
この料金には、精密な型取り、仮歯の製作、被せ物の製作と装着などすべての工程が含まれています。
金属を使わないオールセラミックやジルコニアは、金属アレルギーの心配がなく、審美性も非常に高いため、前歯の治療で人気があります。
保険診療と比較すると料金負担は大きくなりますが、見た目の美しさや長期的な耐久性を考慮して選択する患者さんが増えています。
前歯のセラミック治療では、特に型取りの精度が重要になります。
前歯は最も目立つ部分であり、わずかな色の違いや形の不適合も目立ってしまうためです。
自費診療では、歯科技工士とも密に連携を取りながら、患者さんの希望に合わせた色や形を再現します。
前歯4本をセラミックで治療する場合、型取りを含めた総額は30万円から60万円程度の負担となることが一般的です。
高額な治療費になりますが、分割払いやデンタルローンに対応している歯科医院も多くあります。
自費ブリッジの型取りと料金
自費診療でブリッジを作る場合、使用する材料によって料金が大きく異なります。
金属を使った高品質なブリッジから、オールセラミックやジルコニアのブリッジまで、選択肢は多様です。
自費のブリッジ型取りでは、デジタルスキャナーを使用することも多く、より精密で快適な治療を受けることができます。
3本分のセラミックブリッジの場合、型取りから完成までの治療費は25万円から45万円程度が相場となっています。
料金は高額ですが、審美性と機能性の両方を兼ね備えた高品質な治療を受けることができます。
前歯のブリッジを自費で作る場合、特に審美性が重視されます。
前歯のオールセラミックブリッジは、天然歯と見分けがつかないほどの美しい仕上がりが期待できます。
型取りの段階から、色合わせや形の調整を細かく行い、患者さんの顔貌に調和したブリッジを製作します。
治療期間は保険診療と同様に2週間から4週間程度ですが、より精密な作業が行われるため、場合によってはもう少し時間がかかることもあります。
診療回数も保険治療より多くなる傾向があり、より丁寧な治療プロセスを経て完成します。
4. 料金の負担を抑えるための知識とポイント
医療費控除を活用する方法
歯科治療にかかった料金は、一定額を超えると医療費控除の対象となります。
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けることができます。
これは保険診療だけでなく、自費診療の治療費も対象となるため、高額な治療を受けた場合は必ず領収書を保管しておきましょう。
型取りの料金や治療費、通院のための交通費なども医療費控除の対象となります。
家族全員の医療費を合算できるため、世帯で年間の医療費を計算してみることをおすすめします。
医療費控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽減されます。
控除額は支払った医療費から10万円を引いた金額(最大200万円まで)となり、この金額に応じて税金が還付されます。
虫歯の治療やブリッジの製作など、保険診療でも年間で複数回の治療を受けると、医療費が10万円を超えることは珍しくありません。
自費診療で前歯のセラミック治療などを受けた場合は、さらに医療費控除の効果が大きくなります。
確定申告の際には、歯科医院から発行された領収書が必要となるため、大切に保管しておきましょう。
高額療養費制度について
保険診療で高額な治療を受けた場合、高額療養費制度を利用できる可能性があります。
1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
ただし、歯科治療の場合、1か月で高額療養費の対象となるほどの治療費がかかるケースは限られています。
保険診療での虫歯治療やブリッジ製作では、通常は高額療養費の対象となる金額には達しません。
入院を伴う大規模な口腔外科手術などの場合に、この制度が適用されることがあります。
高額療養費の自己負担限度額は、所得によって異なります。
一般的な所得の方であれば、月の医療費負担の上限は8万円から9万円程度となります。
保険診療で複数の歯の治療を同時に行う場合でも、1か月の負担額が限度額を超えることは稀です。
ただし、診療内容や治療の進め方によっては、制度を活用できる可能性もあるため、高額な治療が必要な場合は歯科医院や保険者に相談してみましょう。
料金の支払いについて不安がある場合は、治療を始める前に相談することが大切です。
分割払いやデンタルローンの活用
自費診療で高額な治療を受ける場合、一括での料金支払いが難しいこともあります。
多くの歯科医院では、分割払いやデンタルローンに対応しており、負担を軽減しながら治療を受けることができます。
デンタルローンを利用すれば、月々5,000円から1万円程度の支払いで高額な治療を受けることが可能です。
前歯のセラミック治療やブリッジの自費診療など、料金が高額になる治療でも、計画的に支払いを進められます。
診療を受ける歯科医院で、どのような支払い方法が利用できるか事前に確認しておくと安心です。
クレジットカード払いに対応している歯科医院も増えています。
カードのポイント還元を受けられるため、高額な治療費の支払いでメリットを得ることができます。
また、カード会社の分割払いやリボ払いを利用することで、支払いのタイミングを調整することも可能です。
虫歯の治療や金属アレルギーへの対応など、必要性の高い治療であれば、料金面での工夫をしながら適切な治療を受けることをおすすめします。
治療費の負担について、遠慮せずに歯科医院のスタッフに相談することが重要です。
5. 型取りの料金に関するよくある質問と注意点
型取りだけで料金はどれくらいかかるのか
型取りだけの料金について気になる方も多いでしょう。
保険診療の場合、型取り単独での料金は3割負担で600円から2,000円程度が一般的です。
ただし、実際の診療では型取りだけを単独で行うことは少なく、検査や治療、説明などの料金も合わせて請求されます。
初診の場合は初診料、再診の場合は再診料も加算されるため、型取りを含めた1回の診療での負担額は3,000円から5,000円程度になることが多いです。
診療内容によって料金は変動するため、詳細は歯科医院で確認することをおすすめします。
自費診療での型取り料金は、使用する材料や技術によって大きく異なります。
デジタルスキャナーを使った型取りでは、5,000円から10,000円程度の料金設定をしている歯科医院が多いです。
精密なシリコン印象材を使った型取りでも、3,000円から8,000円程度の料金がかかります。
金属の詰め物やセラミックの被せ物など、製作する補綴物の種類によっても型取りの料金は変わってきます。
治療の見積もりを出してもらう際に、型取りの料金も含めた総額を確認することが大切です。
型取りのやり直しで追加料金はかかるのか
型取りがうまくいかず、やり直しが必要になることもあります。
保険診療の場合、患者さん側の原因(動いてしまった等)でなければ、基本的に追加料金は発生しません。
歯科医院側の判断でやり直しが必要と判断された場合も、通常は追加の負担を求められることはありません。
ただし、別の日に再度来院してやり直す場合は、再診料などの基本的な診療費用がかかることがあります。
型取りのやり直しについて心配な点があれば、診療時に歯科医師や受付に確認してみましょう。
自費診療での型取りやり直しについては、歯科医院によって対応が異なります。
多くの場合、治療の品質を保つために必要なやり直しであれば、追加料金なしで対応してもらえます。
虫歯の治療やブリッジの製作など、精密な型取りが必要な治療では、歯科医師も慎重に作業を進めます。
患者さんとしても、型取りの際は指示に従って動かないようにすることが大切です。
料金面での不安を解消するためにも、治療前に型取りのやり直しについてのポリシーを確認しておくと安心です。
保険適用と自費診療、どちらを選ぶべきか
保険診療と自費診療のどちらを選ぶかは、患者さんの価値観や経済状況によって異なります。
機能的な治療を優先し、料金負担を抑えたい場合は保険診療が適しています。
虫歯の治療や奥歯の金属冠など、見た目よりも機能を重視する治療では、保険診療でも十分な質の治療を受けられます。
一方、前歯の審美性や、金属アレルギーへの配慮、長期的な耐久性を重視する場合は、自費診療を検討する価値があります。
診療の際に歯科医師と相談しながら、自分に合った選択をすることが重要です。
料金面での負担は、長期的な視点で考えることも大切です。
保険診療の金属冠は料金が安い反面、数年後に劣化したり、金属アレルギーが発症したりする可能性もあります。
自費診療のセラミックは初期の料金負担は大きいですが、耐久性が高く、長期的に見ると再治療の必要性が低いというメリットがあります。
前歯の治療では、見た目の満足度も生活の質に大きく影響するため、料金だけでなく審美性も考慮して選択しましょう。
治療費の支払い方法や医療費控除なども活用しながら、最適な治療を受けることをおすすめします。
まとめ:型取りの料金を理解して賢く治療を受けよう
歯医者での型取りの料金は、保険診療か自費診療か、治療内容や使用する材料によって大きく異なります。
保険診療での型取りは、3割負担で600円から2,000円程度と比較的リーズナブルな料金で受けられます。
虫歯の治療やブリッジの製作など、一般的な治療であれば、保険診療でも十分な質の治療が可能です。
一方、自費診療では高精度な型取りや審美性の高い材料を選択でき、前歯の治療などで満足度の高い結果を得られます。
料金負担は大きくなりますが、医療費控除やデンタルローンなどを活用することで、負担を軽減できます。
治療を受ける前に、料金の見積もりをしっかり確認し、納得した上で治療を進めることが最も重要です。
保険診療と自費診療のメリット・デメリットを理解し、自分の希望や予算に合わせて選択しましょう。
金属アレルギーがある方や、審美性を重視したい方は、自費診療も積極的に検討する価値があります。
診療の際には、料金だけでなく、治療の内容や期間、アフターケアについても詳しく説明を受けることをおすすめします。
適切な知識を持って治療に臨むことで、料金面でも治療の質でも満足のいく結果を得ることができるでしょう。