院長ブログ

2023.01.12更新

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【 目 次 】

現在、企業にはそこで働く一定の条件を満たした方に対して、健康診断を受けさせる義務があります。

 

一方で、歯科検診については義務化されていません。(ごく一部の職種を除く)

 

しかし、その歯科・医科における重要性を鑑み、歯科検診についても「国民皆歯科検診」として、企業での実施を義務化する動きがあります。

 

今回はそんな義務化されるかも知れない歯科検診について学んでいきましょう!

 

歯科検診の義務化とは

2022年度の「骨太の方針」で、年代関係なく国民全員が定期的に歯科検診を受けることを目標とする「国民皆歯科検診」制度の検討が発表されました。

 

骨太の方針というのは、毎年政府が発表している経済財政運営に関する基本方針です。

 

現在、ごく一部の職種においては、すでに6ヶ月ごとの歯科検診が義務化されています。

 

また、乳幼児から高校生までのお子様に対しては、各自治体や保育所・幼稚園、学校において歯科検診の実施が義務付けられています。

 

しかし、大人の歯科検診は義務ではなく、日本歯科医師会の2020年の調査によれば、日本で歯科に通っている人は約44%(治療中10%・歯の定期チェックを受けている人34%)しかいません。

 

歯や口の健康は全身の健康にも重要であるため、国民皆歯科検診では、年代関係なく国民全員が定期的に歯科検診を受けることを目標としています。

 歯医者 歯科検診 義務化

 

歯科検診はなぜ義務化されるのか

①国民の健康寿命を延ばす

歯科検診が義務化される1つの理由は、国民の体を病気から守り、豊かな食生活を守るためです。

歯科検診によって歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることに繋がります。

というのも、歯が少ないと咀嚼が困難になるため、食べられるものが限られてしまい、バランスよく栄養を摂取することができません。

不健康な歯は生活習慣病の原因にもなるのです。

また、嚙む回数は記憶力、認知症と相関があるという研究の結果から、かかりつけ歯科医院が無いことが認知症発症のリスクを増加させるとも言われています。

また、国民の8割がかかっていると言われる歯周病も全身に悪影響を与えます。

菌が血管内に侵入することで、脳卒中・心筋伷塞・認知症・骨粗鬆症・高血圧症・関節リウマチ・妊娠合併症などを悪化させる可能性があります。

 

②国の医療費削減

歯の本数が少ないほど全身の医療費が高くなるという研究結果があるように、歯の健康を保つことは全身の健康につながります。

超高齢化社会である日本では、近年医療費は増加する一方なので、こうしたことから、日本でも歯科検診を義務化することで虫歯や歯周病の予防と早期発見・早期治療へと繋げ、長期的には医療費の削減を目指しています。

 

③歯科検診の受診率

日本は、高い歯科技術がありながら、80歳時点での平均残存歯数が約15本に留まります。(参照:厚生労働省・平成28年歯科疾患実態調査より)

これに対し、予防先進国のスウェーデン・フィンランド・アメリカなどでは約25本という結果が出ています。

これら歯科先進国と日本との差の大きな要因となっていると考えられるのが、定期的な歯科検診の受診率です。

世界的に予防の意識が高まる中、日本では依然多くの方が、痛みなどの症状が現れてから歯科医院を受診しています。

現在、国内の定期的な歯科検診の受診率は、50%程度に留まります。

一方、世界でもっとも予防歯科の意識が高いと言われているスウェーデンは、この数字が80%以上にものぼります。

これはスウェーデンだけが突出しているというわけではなく、他の欧米諸国においても、定期的な歯科検診の受診率は軒並み70%前後が維持されています。

スウェーデンでは1970年に定期検診が義務化されており、アメリカでも民間の歯科保険に入っていれば歯科検診は無料です。

日本は先進国の中で目立って低い歯科検診の受診率であることが現状なのです。

歯医者 歯科検診 義務化

 

歯科検診の義務化はいつからか

日本政府は、国民皆歯科検診の制度の2025年導入を目指しています。

 

具体的な時期については、今後定かになっていくものと思われます。

 

いきなり歯科検診が義務化されると言われても、自分がしなければならないことはあるのかと誰もが不安を抱えることと思います。

 

現時点で一般の方がしなければならないことは特にありません。

 

なぜなら、歯科検診をどういう形でうけることになるかは未定だからです。

 

しかし、国民皆歯科検診の形態として、企業の健康診断に歯科検診が盛り込まれる可能性があります。

 

そうなると、企業の責任者や健康診断の担当の方は、新たに歯科検診を社員に受けさせなければなりません。

 

企業歯科検診の義務化の可能性に備えて、企業の方は国民皆歯科検診の制度の動向をチェックしておくべきでしょう。

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国民皆歯科検診での費用の負担は?

国民皆歯科検診の検診費用を誰が負担するのかについて、まだ定かではありません。

 

「国民皆歯科検診実現PT」の方が「費用は基本的に国が負担していくようにする」と発言したというニュースもありましたが、まだまだ途中のプロジェクトのため、変更される可能性は大いにあります。

 

費用負担も含めて検討中というところでしょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

今回は歯医者での歯科検診の義務化について学んでゆきました。

 

歯は一生ものと言われるように、人間の体の中でも特に大切なもの。

 

病気から体を守るためにも、豊かな食生活を守るためにも、定期的な歯科検診の受診がとても大切です。

 

これから歯科検診の形態や費用負担がどのようになるのか注目です。

投稿者: ブルーリーフ歯科

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